2017年1月26日木曜日
マインドフルネスとADHD
最近テレビなどでよく報じられているマインドフルネス。多くはうつとか大人を対象にした取り組みの話であるが、実は児童・生徒を対象とした取り組みも行われており、その効果も実証されている。
そこで今回は、藤田彩香氏ら(2013)の実践的研究を読み、具体的にはどのような効果があるのかを整理してみたいと思う。
氏らの研究の対象は8~11才の児童。
結果は、
多動衝動得点の改善は、不注意優勢型では、75%。混合型では、18%。
不注意得点の改善は、不注意優勢型では、48%。混合型では、30.2%。
であった。
同じくADHDであっても、その効果はそれぞれ認められるものの、その型によって、大きく異なるようである。しかし、いずれにしても不注意行動、多動衝動のどちらにおいても改善が見られると言うことである。また、氏らは考察で前頭葉の注意機能の改善は期待できないものの、頭頂葉の注意機能の改善は期待できるとしている。つまり、マインドフルネスは、行動などの変化だけではなく、脳機能の変化も期待できる取り組みであるようである。脳機能への効果については、日和悟氏ら(2016)も、MRIを使った研究で、数息観と言われる初心者を対象とした簡単な集中瞑想においても、注意制御への影響が生じていると報告している。
私自身の児童への取り組みにおいても、児童が終了後に落ち着いた様子を見せ、「気持ちよかった」と言う感想を聞くにつけても、それ相応の効果があるのではないかと思っている。もちろん長期的に経過を見ないといけないが。
参考文献 不注意及び多動・衝動行動を示す児童に対するマインドフルネスの効果
山下歩、蓑崎浩史、西川真生、森彩香、島田洋徳
人間科学研究 第28巻 2号(2015)
児童に対するマインドフルネストレーニングがADHD症状改善に及ぼす影響
藤田彩香、橋本累、島田洋徳
Human Development Research(2013、Vol27)
脳機能情報による瞑想状態の検討
日和悟、飯塚まり、廣安知之
The 30th (2016)
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