2014年4月11日金曜日

我が子が不登校になったら 続

  不登校になったら、何をしたらいいのだろうかという視点で更に考えていきたいと思います。先回は、エネルギーを補給すると言うことと、達成感や役割取得と言う視点で考えてみました。 今回は、自尊感情と言う視点から、不登校になったらどうすればいいのかについてもう少し深めたいと思います。
 自尊感情という視点から考えると、不登校になっている児童生徒さん方のほぼ全員と言っていいと思いますが、自尊感情が低下していると思われます。自尊感情については誤解が生じやすいかもしれませんが、自己肯定感と同じような意味でここでは使っていきます。
  まず、自尊感情が高いとは、低いとはど言うことかについて述べてみたいと思います。
 
 

 自尊感情が高い子(人)は、概略的に述べますと
  ① 精神的に安定している
  ②  意欲的で根気がある
  ③  拒絶や批判を受け入れられる
  ④  他者(家族も含む)にYes・No を言える
  ⑤  自分の長所・短所を分かっている
        と言うような傾向があるように思います。
 

 また、逆に低い子(人)は、同様に
   ① 人の行動をしばしばとがめる
  ②  誰からでも好かれなければ安心しない
  ③  自分は失敗者だと思う
  ④  他人を批判する
  ⑤  イライラしやすい
  ⑥  自分に否定的で、すぐに投げ出しあきらめが早い
  ⑦ 何をしていいか分からなくなる     
 

    と言うような傾向があるように思います。
 
 

  簡単に言えば自己評価が低いと言うことで、自分で自分が好きではないと言うことになります。だからイライラもしますし、どうせだめだと思う傾向が強いですから、すぐに投げ出したり、あきらめも早くなると言うことです。また、他人も自分と同じように、私のことが嫌いだと思い込む傾向が出てきてしまいますから、人から離れていくようになります。(もちろん、元々他者との関わりが好きではなかったり興味を持たないタイプの子も居たりしますが) 
 
 逆に高い子(人)は、人からの批判や意見も受け入れやすい傾向にあります。また、自分の意見もはっきり述べられ、少々のことではひるんだりしないと言うことです。更に、自分の長所や短所が分かっていると言うことは、自己理解が高いと言うことでもり、低い子(人)は自己理解が進んでいないと言うことでもあります。
 

 いかがでしょうか。現在不登校になっている、あるいは、最近どうも元気がないなどの様子を示している子どもさん方、上記のような様子はないでしょうか。
 

  Backman ら(1977)の自尊感情と学歴の関係について調べたグラフがあります。(参考にして作成、ーーこんなにきちんと直線ではありませんが、基本的にはほぼこのようなグラフです。幸崎) 


     高│                        ・①  大学院                                
    │① ・                   ・②  4年生大学                             
         │②・                    ・③ 高校卒                                
         │③ ・                   ・④  高校中退                              
         │④ ・                                                               
         │                                                             
     低└──────────────                                      

     注) 線が引けませんでした。画像をコピーすれば良かったのですが、うまく出来ませんでした。  
    各番号ごとにほぼ直線を入れて頂ければいいかと思います。

  このグラフは、高校生の時点で自尊感情が高いと、学歴の方も高いと言うことを示しています。これは、高校生の時点で自尊感情を調べ、その人達の進路を、追跡調査したものです。 
  Backman らのこのグラフから、柏木恵子(1983)は、高校生時代の頃に高い自尊感情を持つことが、高い要求水準を持たせる、と述べています。いずれにしても、自尊感情の高さが、学歴、ひいては社会的な地位の高さと関連していることを推測させますし、自らに対する信頼が、色んな取り組みへの意欲に関わっているんだと言うことを教えてくれているように思われます。
 

  最初にも述べましたが、不登校の児童・生徒さんは、この自尊感情(自己肯定感)が低下している状態と言えます。ですから、この自尊感情を高めてあげることが、不登校への重要な応援の一つとなるように思われます。ただし、そもそも自尊感情が低い状態ですから、少々ほめたぐらいでは上昇しません。また、自己や他者に対して自信をなくし懐疑的ですから、具体的な取り組みや、事実を認めたり、ほめたりしないと、ほめていること自体に対して疑いを持ったりする傾向があります。
  私が関わった事例では、1ヶ月ぐらい立った時にお子さんから「お母さん変わった?」などと言われたりしているようです。そのくらい続けないと伝わらないと言うことだと言うことです。 中には「、何もほめることなどない。いったい何をほめたらいいのだ」とおっしゃる方もかなり見えます。そういう場合は、「ありがとう」でもいいだろうし、「おはよう」もいいだろうし、「笑顔がいいね」でもいいように思います。
 「不登校で学校も行っていないのに、なんでほめてやらないかんのだ」とおっしゃる方も見えます。しかし、そうした時にお子さん達に、大概「親は自分が学校へ行けない思いを分かってくれない」と言われたりしています。こうなると悪循環に陥ります。そこで遠回りのようですが、自尊感情(自己肯定感)=自信をつけることから始めると言うことです。
 ただし、いじめであるとか、あるいは友人とのトラブルとか、明確な理由がある場合は、その理由に対処することで、登校できたりするケースも多いようです。
 
 
 
 今回はここまでにします。

我が子が不登校になったら 続々編を書きました。併せてご覧下さい。

カウンセリングルーム 希望の翼です。

 http://tubasa-counseling.com/

2014年4月4日金曜日

青春・勉強もっと 発達障害の若者へ「大学」開講

山本奈朱香 2014年4月4日17時45分
 プリントや映像でアフリカについて学ぶ学生たち=名古屋市中川区の見晴台学園大学
 
 発達障害の若者のための学びの場が少しずつ広がっている。一般の大学に進学しても、なじめずにやめてしまう人も少なくない中、勉強からサークル活動まで楽しめるよう支援する。同世代と同じように、青春を味わってほしい――。保護者や指導者らの願いが背を押している。
 「なぜマンデラさんは投獄されたのか。みんなで考えてみましょう」
 名古屋市中川区のビルの1室に昨年秋、見晴台(みはらしだい)学園大学教養学部現代教養学科が開校した。3月7日、「世界の人々と文化」の講義をのぞくと、4人の学生がアフリカについて学んでいた。
 
                
   以上 朝日新聞 平成26年4月4日(金)

 学びの機会が広がってきています。差別がなく、誰でもが学びたい時に、学びたいことを学べる機会や場所が、多くなることを願っています。