2015年8月31日月曜日

発達の支援   新聞記事から

 発達障害の子、社会生活訓練…やる気引き出しゆっくりと

 規則正しい習慣、我慢学ぶ
 
 発達障害のある子どもたちは、成長と共に行動やコミュニケーションの問題に直面する。
 だが、早期に適切なトレーニングを行うと、社会生活上の困難は大幅に軽減できる。小児科医の平岩幹男さん(64)が取り組むライフスキルトレーニングをみた。
 
 トレーニングは、発達障害の療育経験が豊富な平岩さんが考案した。対人関係を円滑にするコツを学ぶ従来の生活技能訓練をベースに、「生活習慣を規則正しくする」「必要な時に我慢する」「自分の感情をコントロールする」など、幅広い技術を子どもたちに習得してもらう。怒ったり、無理強いしたりして覚えさせるのではなく、子どものやる気を引き出し、ゆっくり進めるのがポイントだ。
 例えば、イスにじっと座っていられない小学生の場合。「座って」と伝えると従うが、2分と耐えられず、すぐに歩き回ってしまう。何度言っても分からないと、大人はいら立って叱りつけるが、それではうまくいかない。座り続けられない理由を、平岩さんは「いつまで座っていればいいのかはっきりしないので、落ち着かないだけ」とみる。
 
 そこで、時間を1分と決めて座ることから始める。「一緒に格好良く1分座ろう」などと誘い、机に砂時計を置く。砂が落ちる様子を見るうちに1分たったら、「やったね」と言ってハイタッチする。うまくできた時のハイタッチや「すごいね」「ありがとう」などの言葉が、子どもの達成感を育てる。
 続いて3分、5分と座る時間を延ばしていく。時間の延長と共に、ただ砂時計を見ているだけでなく、本を読む、話を聞く、などの動作を加えていく。こんな調子で1、2か月かけて時間を延ばし、学校の1時限の間、座っていられるようにする。
 
 ただ、座っていられない子どもには、実は座る姿勢を長く続けられない運動障害を抱えている子もいる。このような場合、トランポリンなどを用いた重心コントロールの練習をすると効果がある。
 
 関東地方の小学4年生の男児は、イスに長く座れないなどの落ち着きのない行動が目立っていた。そのため、高い学習能力があるのに特別支援学級を勧められたり、担任に怒られて不登校に陥ったりした。だが、平岩さんのライフスキルトレーニングで落ち着き、弱点だった読み書きも、パソコンを使った日記作成などの指導で克服。今は元気に学校に通っている。
 
 ライフスキルトレーニングは、コミュニケーションの技術も重視し、質問に答える練習や質問する練習、顔を見て話す練習、相手の話を聞く練習、他人の会話に突然割り込まない練習などをする。相手の目を見ることに強いストレスを感じる子もいるので、そのような場合は、相手の鼻を見ながら話す練習などをする。
 
 発達障害のある子どもたちは、行動やコミュニケーションの問題で怒られたり、いじめられたりしやすく、自尊心が低下して心の病に陥りやすい。平岩さんは「教師らが発達障害の正しい指導法を身につけ、子どもの可能性を大きく伸ばしてほしい」と話している。(佐藤光展)


感想
 やってはいけないことは、「特訓」 スモールステップで、少しずつ。本人のペースに合わせて。どんなにいいと分かっていることでも、無理をして本人の自尊感情を損ねてしまうと、元も子もない。返ってやらなかった方がよかったと言うことにもなりかねません。
 「生活習慣」を規則正しくと言うことも、とても大切なように思います。セロトニンの問題もそうですが、何より本人が、余分なことを考えずにすみ、他のことを身につけるゆとりが生まれる。今日は何をどうするかなどといちいち気にして気をもむより、よほど精神的に楽なように思われます。それは定型発達の子も同様かなと思いました。
 ただ日記指導に関しては、私の経験上結構苦戦する場合が多い。いいことと分かってはいるけれども、文章を書くこと自体にかなり抵抗を示す場合が多いから。そういう場合は、お話を聞きながら支援者の方が、文章化して手助けする形で始めるのがいいように思われます。


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